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ほぼ日刊三浦タカヒロ。

「まちなかecoマルシェ:仙台市」

とれたて枝豆が、こどもたちの手によってにぎやかにずんだ白玉になってきました。
お洒落なスポットに突如現れたテントとのぼり。ショップの店員さんや薬局のお
じさんなどが物珍しそうに様子を見に来ています。

ここは仙台市青葉区中央2丁目のクリスロード商店街、裏通りの一角にあるちい
さな公園「新伝馬町公園」。ファッション誌からでてきたようなおしゃれな若者
が闊歩する「仙台のまちなか」です。
この公園で、環境に配慮した地場農産物のちいさなマルシェ(農産物直売市)が
定期的に開催されることになり、8月22日に初めての開催となりました。

竹チップで舗装、市地下鉄東西線工事で伐採された青葉通のケヤキの丸太がベン
チ代わりのこの公園。すぐ近くに店舗があるアウトドア衣料のお店「パタゴニ
ア」が市に相談し、社会貢献活動の一貫で整備費用を提供したものです。
「地域のみなさんがつながるきっかけづくりや、みんなが憩う公園として有効活
用のお手伝いとなれば」と「パタゴニア」仙台店の萩原修さん(41)は笑顔でそ
の思いを語ります。

毎月第4土曜日開催の「まちなかECOマルシェ」というこの取組み。
環境NGOも参加したり、食と農に関わる体験型のワークショップや、話題の映画
「未来の食卓」上映会なども予定されているそうです。県内各所でがんばってい
る若い生産者さん達も登場予定とのこと。
発起人の、市内にある自然食レストランとオーガニック食品のお店「おひさま
や」代表の鴫原幸恵さん(55)は、「小さなまちなかの公園で、食べ物をつくる
若い生産者との出会いのなかから環境、くらし、農業への関心を生み出していく
スペースにしていきたいのです。」と穏やかに熱意を込めます。

主催は食農NPOの朝市夕市ネットワーク。若者へ向けた仙台市がすすめている乾
燥生ゴミの受入れと交換制度のPRを目的に展開されます。自宅の電気式生ゴミ処
理機で生成した乾燥生ゴミ1kgと、野菜100円相当を交換。受入れた生ゴミは堆
肥とされ、農産物生産に活用し野菜となります。地域内有機物循環の「リサイク
ル野菜市」ともいえる市の制度です。
「よっちゃんなんばん」などを出店していた大崎市岩出山の農家で同ネットワー
ク理事の高橋博之さん(37)は、「竹や炭だけでない季節ごとに岩出山の魅力が
ある。同年代や若い人たちへ対話、交流のなかでその価値を伝えたいし、やって
いきたいものがどんどん出てきた。同年代の生産者ともつながりたいし、ぜひ続
けて参加していきたい。」と興奮気味。

豆名月を知らずすりばちとすりこぎもしばらくぶりに見た、という若い通りすが
りの親子は、余ったずんだが変色していくことに「そういえばいつも見るずんだ
は常温でもずっと緑色だね」と気づき、この時期ならではの豆の味を親子でかみ
しめていました。

地産地消は、お互いの顔と暮らしを感じて学ぶ関係づくり。一般の方々に地場の
農業に出会い理解してもらうには最高の場所と思います。さらに結びつきが強く
なれば、生産者側も新しい情熱と知見に恵まれもするでしょう。
若い年齢層の参加者が増え、地域資源に寄り添う暮らしの価値を広めることで、
都会においてこそ、農林水産業へのまなざしが静かに蜂起していくようになれば
と期待しています。


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